bizの杜   仕事と日常を語る情報ブログ

飲食・アミューズメント業界で20年にわたり1,000人を超える社員・アルバイトを育成してきた現役育成担当者が語る人材面から見たビジネス論と日常までを幅広く語る

労働条件

学生時代飲食店でアルバイトをしていたので飲食業界には行きません!

■飲食店で働く学生は飲食店に就職しない!

飲食店には多数の学生アルバイトの方が働い
ています。
しかし彼ら、彼女らは100%に近い確率で飲食
店には就職しません。

うちに来ない?と言っても皆異口同音に

「飲食店はアルバイト先としては楽しいし魅力は
あるけど、就職先としてはちょっと・・」

と言って断ってきます。

これは今わたしが勤めている会社だけの話で
はありません。
これまでわたしは色々な会社にいて都度誘い
ましたがどこでも大体同じようなものです。


■「就職難だけど嫌なところでは働きたくない」
 が学生の本音


近年学生はずっと就職難と言われていますが、
飲食業界は万年人手不足です。

飲食業界ではどの会社も新卒学生ならのどか
ら手が出るほど欲しいでしょうが、どこも採用は
困難を極めます。

本来なら飲食店なんかは最も学生を採用しや
すい環境にいるはずです。

だって学生アルバイトは全員店でインターン
として働いているようなものですからね。

青田買いし放題なのに誰も入ってこない・・
これって本当にもったいないことです。
我が社も同じ状況ですけど・・

アルバイトとして働いてみるとすごく楽しい。
だけど社員にはなりたくないのはなぜでしょうか?


■飲食店でアルバイトした学生が飲食店で
 働きたくないと思う2つの理由


●労働条件が悪そう!

 アルバイトからは間違いなく社員って大変そ
 うに見える。
 
 休みもなく、長時間働かなければならない。
 給料だってそんなによくなさそうだと思われて
 いる。

 ま、大変なのは飲食だけでなく、事務やっても
 また違う大変さがあるんですけどね。
 そこは学生には見えないところですが・・

 しかし休みが少ない、予定通り休みが取れない、
 勤務労働時間が長い、給料はそれほど高くない
 というのは本当のところです。
 (ま、会社によりますが)


●働いている社員自体が魅力的でない!
 

 これは条件的なものと同じ比率くらい本当に
 大きなウエイトを占めていると思います。

 そもそも飲食業界は労働条件がよろしくないと
 ころが多いため、やはり業界としてなかなかいい
 人材の流入が少ないのが現状です。

 学生から見てステキだなぁ!とかこの人のように
 なりたい!とかこの人と一緒に働いてみたい!
 と思う店長・社員に出会える確率は相当低いです。

 ちなみにわたしは20代前半に居酒屋に就職しま
 したが、その退職理由は周囲にいた30代・40代
 の先輩社員を見るにつけ、やがて自分もああなってし
 まうのか・・ 
 と暗澹たる気持ちになったことが最大の理由です。


■やがて深刻化する人手不足に対する対策を
 考えておかないと、今後人が足りなくて会社
 が倒産してしまう事態もあり得る!

今後の人材確保ということを考えると、労働条件
という基礎的な土台を整備した上で、次に魅力
あるお店を作り、魅力ある仕事を用意し、評価や
教育制度を整え、業界に優秀な人材を引き付け
ていくといった方策を打っていくべきだとわたしは
思っています。

そうすれば学生も飲食店を学生時代に限定した、
単なる小遣い稼ぎの場から、それこそインターンに
近い仕事経験の場と捉えてくれるようになるのでは
ないでしょうか?

しかしながら他業界並みに労働条件を整えるのは
決して容易ではありません。

詳しくはここでは語りませんが、わたしは絶対にそ
れはできると思っています。

※簡単に言えば収益率、労働生産性を上げること
 で利益を増やしそれを労働条件整備に使うのです。
 
 利益をを単なる拡大のための出店費用や、会社の
 留保を増やすことに回すと、人材確保という視点か
 らは確実に失敗します。


いずれにしても少子高齢化の中、人材不足は今後
どんどん進んでいくわけです。

人口が縮小していく社会にあっては、労働条件を整
えられない会社は、市場から退場を迫られていくこと
になると思います。

そういった中で飲食業界が健全経営をていくため
には、人材をしっかり確保していく必要があります。

それには今現在お店で働いている優秀な学生アル
バイトをどれだけ採用していけるか?
ここは生き残っていく上で大きな分岐になるとわたし
は思っています。


すき家(ゼンショーHD)のような会社が飲食店のイメージを絶大に悪くしている!

すき家(ゼンショーHD)による地獄のような長時間
労働の実態が明らかになりました。


■第三者員会による報告は衝撃的なっものだった

第三者委員会の報告によると、100h以上残業の
常態化、人員不足で2週間家に帰れないスタッフ、
ワンオペと言われる1人体制での過酷な業務、中に
は月間500h以上の労働をしていた社員もいたそう
ですね。

「『昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き
残った者が経営幹部になる』というビジネスモデル
が、その限界に達し、壁にぶつかったもの」

という調査委員会の指摘は、まさしくすき家の体質が
異常であることを物語っています。

わたしが最も不思議に思うのがゼンショーという会社が
2,000店舗を超える店舗を擁し、連結で4,600億円
もの売上規模を誇る大・大企業であるにもかかわらず、
このような労働実態がまかり通っていたことです。

このような実態の会社で 多数の社員のみなさんはよく
やってこれたなぁとも思います。


■飲食業界にまかり通る長時間労働の実態

しかし飲食業界では以前にも書いた通り、長時間労働
どんとこい!的な風土は根強いものがあります。

わたしの勤務している会社でも放っておくとすぐ無茶な
働き方をする社員が出てきます。
休みを取りなさいと言ってもシフト上休みにして出勤して
いる社員もいたりします。

わたしは人が足りなければ売上を落としていい、人がい
ないのに無理にお客様を入れて売上を取ることは絶対
しないように指導します。

「売上を捨ててでも休みを取りなさい」
会社や上司がこのことを言えるかどうかは本当に大きい
と思います。

またわたしは売上が予算に届かなかったとしても、予算比
90%くらいまでなら基本売上を何とかしなさいとは言い
ません。

売上・利益至上主義は必ずモラルの退廃を生み、やがて
大きな売上・利益を失うこと必然だと思うからです。

採用に関しても経費関係なく人が充足するまで広告費を
出し続けます。
近年はアルバイト採用がかなり難しく、人員が埋まるまで
に時間を要するので、契約社員を多数採用するようにして
います。

契約社員採用は会社としてはコスト高になる要因ですが、
シフトを安定させ社員が正常な働き方をできるようになる
こと、シフトを安定化させることで売上も安定させること
を狙い、人材政策に関してはこちらの方向へシフトさせて
います。


■大手が無茶なことをすることで業界イメージそのもの
 に傷がつく!

さて、すき家の話に戻りますが、業界大手がこのような無茶
な労働をさせていたことが報道され、世の中に広まること
で飲食業界が蒙る損害は絶大です。

「あぁ、やっぱり飲食ってそういう業界なんだね。オレ(わたし)
は飲食だけは行きたくないなぁ・・」

今回の報道でこのように考えた人は飛躍的に増えたで
しょうね。
ただでさえ飲食は長時間労働、低賃金のイメージがある
のに、近年のワタミや大庄の過労死問題や今回のゼン
ショーの問題を通じて、業界イメージは地に落ちました。

これじゃ飲食業界に優秀な人材は入ってこなくなります。
優秀な人材だけでなく普通の人たちも当然入ってこなく
なるでしょう。

経営者や経営層の方々はそういった業界の将来
も考え会社運営をやっていってほしいとわたしは思って
います。

自分たちで自分たちの首を絞めるようなことをなぜす
るのでしょう??


■飲食店経営は決して派手なもではなく、毎日コツ
 コツと積み上げていく、地味な肉体労働が大半
 を占める、利益率も低い大儲けできない商売で
 ある!


飲食店の経営がそう簡単でないことをわたしは百も
承知しています。
競争は激しいです。
恒常的に人員不足です。
初期投資がかかる割に利益率も低く大きく儲けるこ
ともできません。

しかしそういった構造的問題があるならばそれを解決
するための方策を考え、必死に努力することが我々には
必要なのではないでしょうか?

会社さえよければいい、もうかりさえすればいい、業界
がどうなろうと自分さえよければいいみたいな考えをし
ていては、この業界はダメになっていきます。

わたしは経営者ではありませんが、経営層に入る
人間です。
会社さえよければいい、儲かりさえすれば社員がどう
なろうとどうでもいい、自分さえよければいいという考
えでやっていたら今の仕事はある種楽です。

しかしそれでは絶対にいけないと思っています。
今の立場でどうすれば会社はよくなるか、社員が幸せ
になれるか、業界がよくなるかを必死に考え、自分に
鞭打って日々の仕事に打ち込むことが自分の使命だと
思ってやっています。

ゼンショーの経営者のように誰かの多大なる犠牲のもとに
自分や会社の繁栄を謳歌し、4,000億円を超える売上を
誇るこの段階になって「反省している」という弁を堂々と言う
ような経営者をわたしは信じることはできません。

ゼンショーで起きていることは、この会社にとってだけでなく、
飲食業界全体にとって本当に悲しいできごとです。

この業界にはびこる意味のない「長時間労働万歳!」的な
思想の払拭が急務だとわたしは思っています。
そこができなければ人材流入が途絶え、人員不足がより
深刻となり、やがて人材部分の問題から倒産する企業が
続出することになるでしょう。

みなさんはこの問題どうお考えですか??

飲食業界がブラックだと言われ、若者や優秀な人材の流入が少なく万年人手不足となる理由とは?





今日はここ最近わたしの会社に入社してきた人たちと、なぜ前の
会社を辞めたのか?という会話の内容を少しご紹介したいと思い
ます(基本前職が飲食だった方たちの話です)

彼ら(彼女)たちは皆20代です。
退職理由はいずれもわたしが20代の頃に経験したことと同じよう
なものでちょっと悲しい気持ちになってしまいました。
20年近くがたった今も飲食業界は変わらぬ体質の中でこの社会
を生きているようです。
(ま、他業界も同じなのかもしれませんが・・)


■料理長が黒と言ったら白いものでも皆黒と言わなければなら
 ない!

A君は専門学校卒業後客単価10,000円の高級飲食店
(チェーン店)の社員として入社。
その会社の職場は典型的な体育会・軍隊式組織。
店では料理人が幅を利かせ理不尽が横行。

特に料理長は絶大な権限を持っており、料理長がいったことに
「NO」は許されなかったそうです。

勤務時間も長く1日14時間、15時間労働もあったそう。
休憩は実質1時間ですが、タイムカード上は4時間休憩となって
おり、給料は20万円。
唯一休みが月8日ありそこは飲食店にしてはよかったところとの
こと。

客単価10,000円の料理人に関わらず、チェーン居酒屋なんか
でも料理人の方は職人気質の人が多いのが業界の通例。
料理人の方はリーダーシップやマネジメントの教育など受けてい
ないので、力での支配に頼りがちになります。
結果理不尽や自分の価値観の押しつけが横行し、職場が荒れる
傾向にあります。

結局A君はここでは成長できないと思うに至り退職という道を選択
することになります。


■とにかく上司が横暴。気分屋で逆鱗に触れると怒鳴りつけら
 れる日々にとうとう鬱病を患う

B君C君は同じような経験をしたようです。

両君の店とも料理長と店長の仲が悪く、厨房とホールで派閥ができ
ていました。
SVも両者に気兼ねして仲裁に入ろうともしません。
そもそもこのSVの方もリーダー・マネージャーとしては最悪の人物だっ
たそうで、結局この店に関わる上層部の人たちには誰もマネジメント
能力がなかったようです。

このような状況では下についている人間は悲劇です。
毎日理不尽なことで叱られる日々が続き、また上司同士の抗争に巻
き込まれ精神を消耗。
心を患い結局病気退職に追い込まれてしまいました。

両君とも言っていたのがこれは自分の配属された店がたまたまそう
いう環境だったのではないということです。
2人とも新卒で入社しているので同期が多数いて、様々な店舗に配属
されています。
その人たちに聞いたところどこの店も似たり寄ったりで、リーダーたち
の横暴と人間関係の悪さが原因で同期が日に日に減っていったそう
です。

B君の会社は中堅どころの会社で、飲食業界の中ではわりと有名な
会社です。
C君が勤めていた会社はおそらく日本人なら知らない人はいないで
しょう。
日本全国にチェーン展開している会社です。
ま、C君の会社は本社がマネジメントの悪さが原因で大勢の退職者
が出ている現状に危機感を感じ、なんらかの手を打つことを雑誌の
取材で返答してましたけどね。


■20代前半の何も知らない・できない人間を店長にして、毎日
 電話で「売上あげろ!」を連呼するダメ上司


D君は20代前半で居酒屋に中途入社しました。
前職も飲食店で1年ほど社員をやっていてこの会社が2社目の経験
でした。
入社してすぐ飲食経験あるんだし、とにかく人材がいないからという
理由で店長に抜擢されました。

しかし店の売上はどんどん落ちていき、原価管理や人材教育もでき
ず店は荒れていく一方に。
悪戦苦闘する中で店には毎日のように上司から電話が・・
受話器の向こうでは「売上をあげろ!利益を出せ」と連呼する上司
の声。

何の教育も受けていない、力のないD君にはどうしようもなく、精神
的に追い詰められ結局退職。
教育をしっかりしてくれる会社に入って力を付けたいとの思いでわた
しの勤めている会社に入社してきたとのこと。


あなたの店の所属は決めない。人が足りていないところにヘ
 ルプに行って店番してくることがあなたの仕事である!


これまでは大手・中堅どころの会社の話だったので次は小規模な
会社の実例を書きます。

Eさんは数店舗展開している会社に入社。
不明朗な人事に翻弄される。

入社して即様々な店で働くことを命じられます。
所属する店舗が決まらず毎日違う店舗に行かなければならない
ことに不満を感じ、社長に店を固定してほしい、そこで色々覚え
ていきたい旨を伝えます。至極全うな要望です。

しかし社長の口からは次のような言葉が・・

「Eさんを採用したのは色々な店にヘルプで行ってもらうため。
だってどこの店も人が足りないんだからしょうがないじゃない。」

こんな理由で社員を採用するとは・・
ま、ここまで意味不明な会社だともうどうしようもないんですけどね。


■大手企業でも教育制度が整備されているとは限らない。
 マネジメント力が足りていないリーダーは大勢いる。

上記はこの1年でわたしのいる会社に入社してきた前職が飲食
業界だった人たちの実話です。
わたしの会社は1年に10人程度しか入社がないのですが、その中
から出した例なので、全然特殊な事例ではありません。
(数百人のサンプルから出した実例ではありません。たった10人程
度に聞いただけで、これだけのネタが出てくるわけです)
飲食業界にはこうした話がゴロゴロ転がっています。

わたしも20代半ばの頃A君B君C君D君が経験したことと同じよう
なことを経験しました。

ある居酒屋チェーン店でのことです(当時もそれなりに有名でしたが、
今は全行的に知名度のある会社になっています)
わたしはアルバイトから社員になったので作業的なことは知ってい
たとはいえ、数字の見方や人材管理の方法、店の管理方法など何
も知らないし当然教育などもありませんでした。

いきなり店を任され毎日巨大なプレッシャーをかけられました。
管理ができていないとSVからぶん殴られたり、蹴飛ばされたりもし
ました。
歩いて数分のところにある2号店の店長(当時40歳くらいの方)には、
日々罵声に近いことばを浴びせられました。
100人を超える全社員が集まる会議で、名指しで専務から叱られた
こともあります。

当時社内では店長同士はどこのエリア・地区も仲が悪く、ライバルを
蹴落とそうという雰囲気であふれ返っていました。
40歳近くの店長が20代半ばの右も左も分からない店長を潰そうとす
ることに当時わたしは強い憤りを感じたものです。
また料理人同士の仲はさらに最悪で毎日厨房で喧嘩が絶えませんでした。

20代のわたしは30代、40代の先輩社員たちを見て、日々絶望したも
のです。
この会社にいたら将来自分もああいう人種になっていくのか・・と。
そんなことに絶望したわたしはその会社を退職しました。
この経験で心を病んでしまったわたしは、一時しばらく働くことができなくなっ
てしまいました。

今でいうブラック企業そのものです。
ブラック企業なんて昔からたくさんあったし、今より全然ひどかったと思い
ますよ。
今は暴力はさすがにないでしょうが、A君・B君の例から見ても未だ飲食
業界では低レベルなマネジメントが横行しています。


10年ほど前にはこんなこともありました。
30代前半の頃です。
入社した会社で壮絶な潰しのいじめに遭いました。
その会社は飲食ではなくアミューズメント系の会社でしたが・・

そこでは中途入社の同期が40名ほどいました。
泊まり込みの合宿研修で仲良くなり、店に配属されてからも日々情報
交換をしていましたが、店長になれるレベルの人のほとんどが店長か
副店長からいじめを受けていましたね。
要は優秀な人間が入ってきたら自分が店長になれない、店長の座を
奪われてしまうかもしれないという競争の社風があったんですね。
だから店長に最短距離で登ってくるような人間は徹底的に排除する。

人を育てようとかチームで仕事しようという意識は皆無。
派閥があってそこに入って上にゴマすって出世するするみたいのができ
あがっていた。
しょうもない会社だと思いましたよ。
この会社にいても自分の将来はつまらないものになるなと思い、3ヶ月で
辞めました(ただ給料だけはよかったですけどね)
そこも割と大手な会社で売上高300億円ほどある一部上場企業でした。


わたし自身の苦い経験と、中途入社してくる人たちの前職でのひどい体験
を聞くにつれ、わたしはこういった業界体質を改善したいという思いを強く
します。

店舗で起きるこうした問題は、勿論会社全体の社風と密接に絡んでいる
部分はありますが、基本的には上司たる店長やSVのリーダーシップ・マネ
ジメント力に起因しているものとわたしは考えています。

であるならばしっかりしたリーダーを育てることで、こうした職場内での問題
も大半は解決されるはずです。
またそうした人たちが経営幹部になっていくことで、いずれ社風も変えてい
けるはずです。

わたし自身はこの考えに沿って今の会社で道を拓こうと頑張っていますし、
実際に人材育成システム構築を行い、実証実験できる環境まであと少し
のところまで漕ぎつけました。
ここまでくるのに今の会社で苦節10年。
死ぬ気でがんばってきました。

この試みが一定の成果を出した暁には、成功した人材育成システムを使っ
て、人材面から業界健全化のお役に立ちたいなぁとおぼろげながら考え
ている今日この頃です。。


大企業出身者はなぜ中小ベンチャーで結果を残せないのか?







今回は大企業出身者はなぜベンチャー企業で結果を残せな
いのかについて書いていきたいと思います。

以前、

マネージャーの仕事とは一般レベルの人でも大きな成果が
出せるよう仕事を「仕組化」することである


という記事を書きました。

この仕事の「仕組化」。
大企業ではしっかりしたものが構築されています。
しかし中小企業では仕組化がほとんどされていません。

このような内部体制の相違が大企業出身者が中小ベン
チャー企業で活躍できない最大の要因だとわたしは考え
ています。


■仕組化された組織に慣れてしまうと、そこから逸脱した
 仕事ができなくなる

仕事が仕組化された組織にいると、その仕組・ルールに沿って
仕事をしていれば一定の成果が出せます。
しかしルールのない新しい業務を任された瞬間、その人はどうし
ていいかわからなくなってしまいます。

大企業には成果を出すための仕事の手順がある程度決められて
います。
ノウハウの蓄積もあります。
最低限の研修制度もあります。

一方中小ベンチャー企業に仕事の手順などありません。
結果を残したもの勝ちです。
当然教育なんてものもありません。
ノウハウは個人に帰属しており組織で共有されていません。
全て自分で開拓することが求められます。

そこに大企業出身者は戸惑います。
決められたことをやっていれば成果が出て給料をもらえていた
ところから、全てを自らで決めていく仕事に転換しなければな
らないわけですから。

中小ベンチャーにはこんなリスキーなことをこんな若い経験のない
人間に任せて大丈夫なのか?
ということが日常的にゴロゴロ転がっています。

経験のない若いころから手順も決まっていない、ノウハウもない
仕事を自らで開拓し軌道に乗せていく仕事をやってきた人と、
決められたことを、決められた手順で仕事することが評価につながる
環境でやってきた人と、大差が出るのは当然です。

中小ベンチャーにおける成果とは、能力差ではなく元々のこのような
職場環境の差によるものだとわたしは思います。

元々備わっている能力で言えば確実に大企業出身者のほうが高
いと思います。


■中小ベンチャーの厳しさ

わたしが今働いている会社は飲食店を経営する典型的中小企業
です。
中小企業なので万年人手不足だし、組織も全然できあがっていま
せん。

大企業のような本社のバックアップなどほとんどないので、お店の
業務は基本的には個人の力で全て突破していかなければなりません。

例えば販促をするならどのようなキャンペーンを実施するかを自ら
で全て考えていかなければなりません。
販促を実施した場合売上増がどれくらいで、経費がこれくらいかかっ
て、結果こういう利益をもたらすといった戦略部分から、販促物のデザ
インやポスター・POPをどこに何枚掲示するかといったところまでの
全てを取り仕切らなければなりません。

それを上司か経営トップに直接提案し、決済をもらってようやく事が
動きはじめます。
次に販促物を作る人に依頼をかけます。
簡単なものなら自分で販促物を制作する場合もあります。

デザインや印刷を依頼したら期限通りに動いてくれるかとい
うとそんなことはありません。
中小ベンチャーには当然のことながら販促物作成専門スタッフなど
いません。

社員はみな複数の仕事を持ち、猛烈に忙しいのです。
「これお願いします」的な弱い依頼では忘れ去られてしまう場合もあり
ます。

そこで自分の店の状況やこの販促にかける熱意を担当者に
煌々と訴えかけ相手を動かすわけです。
自ら積極的に動かいていかないと何も進みません。

例えば人の教育にしてもそもそもマニュアルや教育のためのツール
などほとんどありません。
ましてや教育に関して本社が何か手助けしてくれることなど皆無です。
そもそも店に社員は店長一人しかいない場合もあり、全ての業務を
自分でやっていかなければなりません。

大企業では本社や組織が色々助けてくれたり、仕事の隙間を埋めて
くれるけど、中小企業にはそういうセーフティーネットのようなものは
何もありません。
全ては自らでやるしかないのです。
丸裸の本当の実力が問われる。

大企業にいた人はそこに戸惑うんですね。
特に役職が偉いところにいた人ほどダメですね。
大企業では会社や上司・部下が色々な面で組織的に手厚くフォローし
てくれるわけです。
ひとこと「これやってくれ」と命令すれば、みなが動いてくれる。

しかし中小企業は個々人の裸の実力が問われるガチンコ勝負の場。
どんな手を使ってでも、這いつくばってでも最後に勝ったものが勝者
であり、会社が決めた手順とかルールのようなマニュアルは存在しま
せん。

大企業のように貴族のような上品な振る舞いをしていては、生き残
れません。
そもそも役職や年齢、過去の実績で人を動かそうとしても誰も動き
ません。
今現在の実績が全ての世界です。


■某大手外食チェーンで本社人事部まで登りつめたエリー
 トが中小飲食店で大ブレーキ。やがて退職していった理由

大企業で華々しい成果を出し、いいポジションでやっていた
人たちが、中小ベンチャーに来た瞬間並みの人になってしまう。
それどころか全く成果を出せず、意気消沈して退職していく事例
をわたしは多数見てきました。

実際にあった例をひとつ書きます。

Aさんは某大手ファストフード店で店長からSV、本社人事部まで
を歴任した方でした。
Aさんは入社後現場に配属され3ヶ月で店長に就任。
6ヶ月後には2店舗管理を任されました。

しかしAさんは店長として輝くことが全くできませんでした。
まずは体力面。中小ベンチャーではハードワークが求められます。

中小飲食業は労働時間半端なく長いです。
店に立つことは当然、発注やシフト調整、日々の細かい業務から
アルバイト教育、社員教育等仕事は尽きることがありません。

大企業では店に社員が多数いるので、大量の業務も皆で分担し
てやれます。
また最も手間暇がかかる人材教育に関しては、マニュアルが整備
されており、教育方法も確立されています。

また評価システムが用意されていたり、本社の主催する研修が
充実していて、社員教育の一部を本社が担ってくれます。
店長の上司であるSVからの店への指導教育もあり、組織的に
店長をフォローアップする仕組が整っています。

しかしわたしたちの会社にそのようなものはありません。
教育の全ては店長個人に一任です。
日々の営業全てを取り仕切り、運営のためのツールも自分で作り
出していかなければならない。
そういったハードワークな日々にまず体力が続かなくなってしまい
ました。

また売上を上げていくためにどのような販促を行っていくか?
という店長として最も重要な部分でも完全につまずいてしまいました。
大企業では本社が考えたチェーン店一括販促が基本であり、そういう
支援がなかったとしても、販促のためのアドバイスヤ案は上司が考え
てくれたりします。

でも我々にはそのような部署もないし、上司もプレイングマネージャー
なのでそんところまで関与はしません。
自分の店の売上を上げる方策は自分で考えなさいが基本です。
そこにAさんは非常に戸惑っていました。
結局何もできず競合店にやられるままにお店は売上を落としていき
ました。

このような状態を見てAさんの現場での活躍は難しいと判断した会社
は、じゃマニュアル作成をしてもらおう!ということでAさんに新たな業務
を与えました。

Aさんは元外食大手勤務です。
しかもその会社には素晴らしいマニュアルがあり、日本屈指の研修
制度があると言われている会社です。
そこに20年以上勤務していたAさんならきっといいものを作ってくれる
はずだという目算が会社にはありました。

しかし結果は厳しいものでした。
Aさんはマニュアルを読んできた人ではあっても、作る人ではなかった
のです。
やれと言われたルールは忠実に守れるけど、自らそのルールを作るこ
とはできない。

結局Aさんは失意のうちに入社1年で会社を去っていくことになりました。

Aさんは長らく大企業にいて組織から守られ、その組織のルールの中で
成果を出してきた典型的な人でした。
このような人がベンチャーに来ても何の成果も生み出すことはできません。

大企業出身者がみな仕組がないと成果が出せないかというとそうでは
ないと思います。
大企業出身者でも優秀な方はたくさんいらっしゃいます。

ただAさんのように中小ベンチャーには全く向かない方も多数いること
は厳然たる事実だと思います。
Aさんの事例以来わたしは仕事の仕組化の功罪を強く意識するようにな
りました。

今後会社が大きくなっていく過程で、Aさんのような大企業病社員をできる
限り出さないよう、制度設計していくことが重要であると今わたしは考えて
います。



飲食業界を支配する長時間労働・少ない休日当たり前論。こういう慣習が業界の労働イメージを悪くしている

先日、飲食店はなぜ長時間労働(=ブラック企業!?)が
横行し、大量に退職者が出ているのに労働条件が改善さ
れないのか?


という記事を書きました。

今回はその補足を少し書きたいと思います。

■ワタミ社員の反論!

ちょっと古い記事ですが日刊スパ!がブラック企業問題
で騒がれているワタミ社員の反論記事を書いています。

------------------------

ワタミの業務が長時間労働であるのは公然の事実。元木氏
(現役ワタミ店長:仮名)も平日で14時間、土日祝日となれば
16時間は店に出る。キツくはないのだろうか?

「キツいと感じる人は、辞めちゃえばいい。新人がばっくれるの
はよくあることなので、軽いかんじで辞めれますよ。それと、皆
さんは長時間ずっと酷使されてるイメージをお持ちでしょう?

そんなことは全然なくて、ピーク時以外は結構ユルい。
休日だって週に1日ありますしね。まあ、僕は休みの日でも自分
の店が気になって見に行ってしまうけど(笑)」



日刊SPA!より

http://news.livedoor.com/article/detail/7992743/

---------------------------

わたしはワタミがブラック企業かどうかはわかりませんし、
いい会社どうかもわかりません。
したがってここでは論評はしません。

ただ飲食店には上記のような店長は非常に多いです。
いわゆる鉄人店長ですね。
特に35歳以上の年齢の方に。

20代の人はかなり労働観が変わってきていて、長時間労
働を嫌う傾向にありますが。

■長時間労働どんとこい!的発想では飲食業界に
 未来はない

1日の労働時間が14hで休みが週1回。
なのに休みの日店に行っちゃう。
そういう働き方がしんどいという人は辞めればいいと
思っている。

飲食やってる人ってこういう考え方の人多いです。
飲食だから長時間労働当たり前だと。

これが経営者から末端の社員に至るまでの総意となっ
ているから怖い。

こういう意識でいることの何が一番問題かというと、
生産性をあげようとする努力しなくなることです。

飲食店の労働時間はなぜ長くなるのか?
それは生産性が低いからです
(投資のわりに利益率が低い)

生産性を改善しなければ過酷な労働条件は永遠に
解決されません。
それはイコール業界に優秀な人間が入ってこなくな
ることを意味します。

製造業は生産性については国際競争にさらされた分、
相当シビアにやったと思うんです。

そのレベルで飲食もやっていかないと少子化の中、今後
業界に人が入ってこず、人手がさらに足りなくなってしま
います。

飲食業界は万年人不足ですがそんなの当たり前です。
経営者から末端社員までがこのような旧態然とした意識
でいるからです。

そして今日もお店では人がいない・・
本社では優秀な店長ががいない・・

と嘆き続けることになるのです。

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