群馬の回転寿司店「カッパ寿司桐生店」でノロウィルスによる
食中毒が発生。10代~70代の男女8人が嘔吐・下痢・発熱
などの食中毒症状を訴える。
横浜インターコンチネンタルでは11月に181人がノロウィルス
による集団感染の症状を訴えた。
インターコンチネンタルでは公式HPで謝罪のコメントを掲載。
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冬に入りノロウィルスによる食中毒の報道が増えてきました。
飲食店にとっては本当に怖い季節です。
インターコンチネンタルの事故は提供した食材が原因ではなく、
披露宴に来ていたお客様が嘔吐したものにノロウィルスが含ま
れていて、それを処理した際にウィルスが拡散したことのようです。
これで集団食中毒が起きてしまうのは飲食店にとって脅威以外の
なにものでもありません。
脅威のノロウィルスとは一体どのようなものなのか?
今回はそのあたりを書いていきたいと思います。
■食中毒のメカニズム
通常の食中毒のメカニズムは食材にある菌数が1万とか数十万に
増殖したとき、それを体内に取り込んだ際発症します。
(但しO157などは100個程度で重篤な食中毒を発生させたりします)
例えばお刺身。
無菌の食材は世に存在しません。
したがってどんなに鮮度のよい魚でも菌がいくつか存在します。
魚をさばくとき、それを冷凍するとき、解凍するとき、提供するまでの
時間・・様々なところで時間とともにその菌は細胞分裂をおこし増殖し
ていきます。
菌は①水②温度③栄養分があると増殖のスピードが速くなります。
従って水が付着している入れ物に保管し、20~40℃の温度帯で
放置していると、栄養分の高いトロなんかはかなりのスピードで菌数
が増えていきます。
温度帯ですが20~40℃特にひと肌くらいの温度帯で菌は最も繁殖
します。
逆に5℃以下65℃以上では菌の増殖はかなりの部分止まります。
但し菌はわずかですが増えますし、この温度帯でも死滅せず菌数は
一定のままの状態です。
冷蔵庫が1~5℃に設定されているのは、菌の増殖を防げる温度帯
だからです。
また75℃で1分以上加熱すると大概の菌は死滅します。
ただし熱に強い菌もあり死滅しないものもあります。
あと食材が古くなったりして臭うことがありますよね。
あれは菌が増殖し菌数が膨大な数になっていることから発生する
ものです。いわば細菌の臭いみたいなものです。
増殖した菌は一定数以上になると食中毒を発症させます。
逆に言えば一定数以下の菌数であれば、体内に取り込んでも食中
毒は発生しないんですね。
わたしたちが毎日食べているもので無菌のものはありませんから、
一概に菌がつているから即食中毒というのはないんです。
■ノロウィルスは菌数がたった10個でも発症する恐ろしい
ウィルス
上記が一般的な食中毒のメカニズムなんですが、ノロウィルスは
全く別物です。
ノロウィルスは数個でも体内に入ると発症してしまいす。
またウィルス自体は食材中で増殖せず、体内でのみ増殖します。
食材の鮮度と食中毒発生は関係なく、たとえ鮮度のいいものでしっ
かり管理されている食材であっても、ウィルスが少数付着している
ものを食すれば即OUTです。
ノロウィルスはカキや二枚貝に多く生息していて、体内に入って
24~48h程度で発症します。
話はそれますが食中毒の発生原因特定が難しいのはこの潜伏期間
にあります。
一般の方は食べたら即食中毒の症状が出ると思われますが、1日
程度経過しないと症状は出ないので、一体どこで食べたものが原因
なのかが見極めにくいんです。
■飲食店でノロウィルス発生を防ぐ方法とは?
さてこのノロウィルスによる食中毒、飲食店で予防していくために
はどうすればよいのか?
具体的に見ていきます。
①健康管理
感染経路として多いのがスタッフに保菌者がいて、その人が調理を
してしまい食材に菌を付着させてしまうケース。
下痢や嘔吐の症状がある人は休ませること。
また完治するまでは出勤させないこと。
②手洗い
ノロウィルスは手に付着していることが多いので、調理前・調理中
手が汚れた場合はきれいに洗うこと。
(症状が出ていない潜伏期間中のスタッフが出勤し、調理する危険
は十分あります。その点からも手洗いを徹底させておくことは重要
です)
③消毒
ノロウィルスは85℃1分以上の加熱で死滅します。
食材はよく火を通すことで発症を防ぐことができます。
調理器具は熱湯をかけるか、濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで
消毒。
④嘔吐物の処理
ノロウィルスに感染している人が店内で嘔吐した場合、絶対に素手で
触らない。処理の際は呼吸で菌を吸い込まないようにマスクを着用する。
処理に使用した手袋、ダスタ等はビニール袋に密封する。
嘔吐物があった床は次亜塩酸ナトリウムで消毒する。
嘔吐物が制服に付いた場合、他のものと分けて次亜塩酸ナトリウム液
で洗うか、熱湯をかけて消毒する。
横浜インターコンチネンタルホテルは④の処理が十分でなかったために
起きた集団食中毒です。
ホテル側が直接発症原因を起こしたわけではありませんが、損害は当然
のことながらホテル側が受けます。
したがって食材管理や従業員の健康管理だけでなく、嘔吐物の処理方法
までマニュアル化し、周知徹底しておかなければなりません。
飲食店にとって食中毒は最大のリスクです。
ひとたび食中毒を起こしてしまうと、お店の存続も危なくなります。
我々飲食マンには絶対に食中毒を起こさないという信念と、理論に裏打ち
された技術が必要です。
お客様の安心・安全を預かる飲食店は、この分野に関しては本当に真剣
に取り組んでいかなければなりません。
食中毒が発生。10代~70代の男女8人が嘔吐・下痢・発熱
などの食中毒症状を訴える。
横浜インターコンチネンタルでは11月に181人がノロウィルス
による集団感染の症状を訴えた。
インターコンチネンタルでは公式HPで謝罪のコメントを掲載。
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冬に入りノロウィルスによる食中毒の報道が増えてきました。
飲食店にとっては本当に怖い季節です。
インターコンチネンタルの事故は提供した食材が原因ではなく、
披露宴に来ていたお客様が嘔吐したものにノロウィルスが含ま
れていて、それを処理した際にウィルスが拡散したことのようです。
これで集団食中毒が起きてしまうのは飲食店にとって脅威以外の
なにものでもありません。
脅威のノロウィルスとは一体どのようなものなのか?
今回はそのあたりを書いていきたいと思います。
■食中毒のメカニズム
通常の食中毒のメカニズムは食材にある菌数が1万とか数十万に
増殖したとき、それを体内に取り込んだ際発症します。
(但しO157などは100個程度で重篤な食中毒を発生させたりします)
例えばお刺身。
無菌の食材は世に存在しません。
したがってどんなに鮮度のよい魚でも菌がいくつか存在します。
魚をさばくとき、それを冷凍するとき、解凍するとき、提供するまでの
時間・・様々なところで時間とともにその菌は細胞分裂をおこし増殖し
ていきます。
菌は①水②温度③栄養分があると増殖のスピードが速くなります。
従って水が付着している入れ物に保管し、20~40℃の温度帯で
放置していると、栄養分の高いトロなんかはかなりのスピードで菌数
が増えていきます。
温度帯ですが20~40℃特にひと肌くらいの温度帯で菌は最も繁殖
します。
逆に5℃以下65℃以上では菌の増殖はかなりの部分止まります。
但し菌はわずかですが増えますし、この温度帯でも死滅せず菌数は
一定のままの状態です。
冷蔵庫が1~5℃に設定されているのは、菌の増殖を防げる温度帯
だからです。
また75℃で1分以上加熱すると大概の菌は死滅します。
ただし熱に強い菌もあり死滅しないものもあります。
あと食材が古くなったりして臭うことがありますよね。
あれは菌が増殖し菌数が膨大な数になっていることから発生する
ものです。いわば細菌の臭いみたいなものです。
増殖した菌は一定数以上になると食中毒を発症させます。
逆に言えば一定数以下の菌数であれば、体内に取り込んでも食中
毒は発生しないんですね。
わたしたちが毎日食べているもので無菌のものはありませんから、
一概に菌がつているから即食中毒というのはないんです。
■ノロウィルスは菌数がたった10個でも発症する恐ろしい
ウィルス
上記が一般的な食中毒のメカニズムなんですが、ノロウィルスは
全く別物です。
ノロウィルスは数個でも体内に入ると発症してしまいす。
またウィルス自体は食材中で増殖せず、体内でのみ増殖します。
食材の鮮度と食中毒発生は関係なく、たとえ鮮度のいいものでしっ
かり管理されている食材であっても、ウィルスが少数付着している
ものを食すれば即OUTです。
ノロウィルスはカキや二枚貝に多く生息していて、体内に入って
24~48h程度で発症します。
話はそれますが食中毒の発生原因特定が難しいのはこの潜伏期間
にあります。
一般の方は食べたら即食中毒の症状が出ると思われますが、1日
程度経過しないと症状は出ないので、一体どこで食べたものが原因
なのかが見極めにくいんです。
■飲食店でノロウィルス発生を防ぐ方法とは?
さてこのノロウィルスによる食中毒、飲食店で予防していくために
はどうすればよいのか?
具体的に見ていきます。
①健康管理
感染経路として多いのがスタッフに保菌者がいて、その人が調理を
してしまい食材に菌を付着させてしまうケース。
下痢や嘔吐の症状がある人は休ませること。
また完治するまでは出勤させないこと。
②手洗い
ノロウィルスは手に付着していることが多いので、調理前・調理中
手が汚れた場合はきれいに洗うこと。
(症状が出ていない潜伏期間中のスタッフが出勤し、調理する危険
は十分あります。その点からも手洗いを徹底させておくことは重要
です)
③消毒
ノロウィルスは85℃1分以上の加熱で死滅します。
食材はよく火を通すことで発症を防ぐことができます。
調理器具は熱湯をかけるか、濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで
消毒。
④嘔吐物の処理
ノロウィルスに感染している人が店内で嘔吐した場合、絶対に素手で
触らない。処理の際は呼吸で菌を吸い込まないようにマスクを着用する。
処理に使用した手袋、ダスタ等はビニール袋に密封する。
嘔吐物があった床は次亜塩酸ナトリウムで消毒する。
嘔吐物が制服に付いた場合、他のものと分けて次亜塩酸ナトリウム液
で洗うか、熱湯をかけて消毒する。
横浜インターコンチネンタルホテルは④の処理が十分でなかったために
起きた集団食中毒です。
ホテル側が直接発症原因を起こしたわけではありませんが、損害は当然
のことながらホテル側が受けます。
したがって食材管理や従業員の健康管理だけでなく、嘔吐物の処理方法
までマニュアル化し、周知徹底しておかなければなりません。
飲食店にとって食中毒は最大のリスクです。
ひとたび食中毒を起こしてしまうと、お店の存続も危なくなります。
我々飲食マンには絶対に食中毒を起こさないという信念と、理論に裏打ち
された技術が必要です。
お客様の安心・安全を預かる飲食店は、この分野に関しては本当に真剣
に取り組んでいかなければなりません。